SSブログ
魔術的現代詩 ブログトップ
前の10件 | -

魔術的現代詩㉖『ライフ・ダガス伝道』 [魔術的現代詩]

クトゥルー神話以降のディストピア

書影「ライフ・ダガス伝道」.jpg


 もはや広瀬大志は、詩人というよりも、
 「幻視者」と呼ぶにふさわしい作家ではないだろうか?


続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

魔術的現代詩㉕『世界の終りの日』 [魔術的現代詩]

詩と小説との喫水線


書影「世界の終りの日」.jpg


 詩と小説の喫水線は、しばしば議論の的になる。
 しかし、それは飽くまでも形式論であって、イメージの豊穣に思いを巡らす時、詩であろうが小説であろうが、或いは音楽であろうが、映像であろうが、形式論は無味乾燥なものでしかない。

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

魔術的現代詩㉔『四角いまま』 [魔術的現代詩]

四角いからだを丸くする

四角いまま.jpg

 詩は、観念だけで書かれるものではないこと、或いは、観念だけで読み解かれるものではないことを、改めて確認させられた詩集である。

続きを読む


nice!(0)  コメント(1) 

魔術的現代詩㉓『胞衣』 [魔術的現代詩]

穢れの無い無垢な願い

胞衣.jpg


 晩年の芥川龍之介の作品に「年末の一日」という小品がある。
 友人の新聞記者に夏目漱石の墓を教えようと墓地へ行くが、それがなかなか見つからない。
 ようやく墓地掃除の女に聞いて墓参を済ませるが、その帰路に、東京胞衣会社と書いた箱車を見つける。……

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

魔術的現代詩㉒『郵便局まで』 [魔術的現代詩]

詩人――或いは、詩境の総括


郵便局まで.jpg


 
前作『川・海・魚等に関する個人的な省察』(砂子屋書房)は、まるで世捨て人を演じているかのように、一人、自然の中に融合し、釣竿と戯れる哲人・ソクラテス然としたものであった。
あの東日本大震災のことさえ一切触れず「私は詩をできるだけ現実から遠い位置に避難させ」ていたという。
(同書/あとがきより)

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

魔術的現代詩㉑『無人駅』 [魔術的現代詩]

此岸と彼岸――魂と魂の会話


無人駅.jpg



一体、何と話しているのだろうか?

――改札をまだ済ませていない、無人駅、草ぼうぼうの魂に覆われ、人生をおりた、一人の水夫(かこ)……。

その眼差し(気配)の向こうには、此岸と彼岸の間で交信される、魂と魂の会話が止めどなく繰り返されている。
実にもの静かで、慎み深い、人の世の年輪を幾重にも積んだ、極めて荘厳な詩集である。

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

魔術的現代詩⑳『声の海図』 [魔術的現代詩]

通底する不全感――藪下明博


声の海図.jpg

あるいは、旅の詩集なのかもしれない。
旅をテーマにした断章の結合。
ただしこの旅は、詩人の記憶の中で構築された過去と、架空の出会いとによって認識された「場」の移動によって成立する。
朧げで危うい、まるで水上を浮遊するかのような、不安に駆られた旅であるはずだ。

    *

『声の海図』
君野隆久
(思潮社・二〇一九年三月三十一日・二五〇〇円+税)


続きを読む


nice!(0)  コメント(2) 

魔術的現代詩⑲『クリティカル=ライン』 [魔術的現代詩]

詩批評への批評の更なる批評――藪下明博

クリティカル=ライン.jpg


今日、詩誌や詩集の読者数が減少する中で、果たして詩批評の読者数とはどれ程のパーセンテージで存在するのであろうか?
――と、冒頭から身も蓋もない疑問が頭をよぎるが、仮にそのような「統計」が存在したとしても、昨今の世情を鑑みた場合、信頼性は限りなく危険域に達していることだろう。(笑)

     *

『クリティカル=ライン』 詩論・批評・超=批評
添田馨
(思潮社・2018年12月25日・二八〇〇円+税)


続きを読む


nice!(1)  コメント(0) 

魔術的現代詩⑱『近現代アイヌ文学史論』〈近代編〉 [魔術的現代詩]

内なる越境文学の歴史とその軌跡――藪下明博

書影(近現代アイヌ文学史論).jpg

近(現)代のアイヌ文学の歴史を、これ程までに系統立て、かつ主要文献(人物)を網羅した「文学史」は他に見当たらないであろう。

藤本英夫氏による知里幸惠や知里真志保、金田一京介らの先駆的伝記の貢献は言うまでもないが、アイヌ文学を国内に於ける越境文学と捉え、固有の文学史として見据える著者の視点は、今後のアイヌ文学研究の方向性を決定付けるエポックメーキングになると言っても過言ではない。

     *

『近現代アイヌ文学史論』〈近代編〉
須田茂
(寿郎社・2018年5月31日・二九〇〇円+税)

続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 

魔術的現代詩⑰『端境の海』 [魔術的現代詩]

妣島のメモリアル――藪下明博

端境の海.jpg



麻生直子詩集『足形のレリーフ』(二〇〇六・梧桐書院)が刊行されてから、すでに十二年の歳月が流れている。

その間『憶えていてくださいー奥尻島・地震と津波の記憶』(二〇〇八・梧桐書院)、伊賀ふで詩集『アイヌ・母ハポのうた』(二〇一二・現代書館)等の編著が出ているが、久しぶりの新詩集に興奮して、逸る気持ちを抑えながら何度も何度も読み返した。

     *

『端境の海』
麻生直子
(思潮社・2018年6月30日・二六〇〇円+税)


続きを読む


nice!(1)  コメント(0) 
前の10件 | - 魔術的現代詩 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。